医薬品と医療機器のコンビネーション製品のURRA
先日米国FDAから「Purpose and Content of Use-Related Risk Analyses for Drugs, Biological Products, and Combination Products」という、医薬品と医療機器のコンビネーション製品の使用関連リスク分析 (Use-related risk analysis; URRA)に関するドラフトガイダンスが発行されました。このドラフトガイダンスは、特にURRAを作成する目的とURRAに含むべき内容を明確にしています。
URRAを作成する目的
URRAは、製品の使用に関連する潜在的なハザードを特定し、それらのリスクを軽減するための手段を評価するのに役立つリスク分析ツールです。URRAは、ヒューマンファクターエンジニアリングプロセスにおいて重要な役割を果たすもので、リスクマネジメントに組み込まれる重要な分析になります。
このドラフトガイダンスでは、URRA が承認申請する際にヒューマンファクター(HF)バリデーション結果を提出する必要があるかどうか判断するのに役立つことを説明しています。FDAは、おおまかに以下の場合、スポンサーからURRAを受領した後、コンビネーション製品の承認申請にHFバリデーション試験の結果を提出する必要がないと判断する可能性があるとしています:
- 開発中のコンビネーション製品と現在上市されているコンビネーション製品の詳細な「比較分析」(ラベリング、タスク、デバイス等に関する詳細な比較分析)を行った結果、クリティカルタスクに影響を与えるような相違点は無いということが明らかになり、且つその相違点に関連した使用エラー や異なる危害や臨床的影響をもたらさない場合
- 意図するユーザー、使用、医薬品と医療機器の特性、投与に関する考慮事項、製品表示に関するユーザーの習熟度や経験、ユーザー特性、使用エラーによる臨床的影響、使用環境を含むがこれらに限定されない様々な要因を考慮した上で、意図するユーザーがそのコンビネーション製品のクリティカルタスクおよびノンクリティカルタスクを普段から頻繁に行っていると判断できる場合
URRAに含むべき内容
このドラフトガイダンスでは、URRAに含むべき内容というものも明確にしています。これについては過去に出ていたガイダンス等からも業界では既に理解されていますが、このガイダンスでは大まかに以下のような項目が挙げられています。
– 製品の使用に必要なすべてのタスクのリスト
– それらのタスクで生じる可能性のある使用エラーと危害
– それぞれのタスクがクリティカルタスクであるかどうかの判断
– 使用エラーを軽減するためにユーザーインターフェースの設計に採用されたリスクコントロール策
– その採用された(または採用される予定の)リスクコントロール策の有効性を評価するために使用する評価方法
このガイダンスの最後には、URRAの記載例が示されていますが、そこで示されている例は、シンプルで明確であり、過去のガイダンスで示された例から大きく変わっていないことにメーカーとしては安心できるかもしれません。そして未だ、uFMEA形式の使用に関するリスク分析を行っているメーカーも多い中、FDAが求める使用に関するリスク分析は、やはりURRAなのだということが明確にされたのではないかと思います。
Key Takeaway
FDAは、URRAについて、これまでもかなりの情報を提供してきました。業界関係者にとっては、このドラフトガイダンスではあまり新しい情報はありませんでしたが、FDAがURRAをどのように実施することを望むかということについて改めて詳細を提示したことは、興味深く、有益なことだと思います。