単回使用医療機器

背景

ある内資系医療機器メーカーは、自社で開発した単回使用医療機器のユーザビリティ試験を実施する必要がありました。それはFDA HFE GuidanceとIEC 62366-1:2015+AMD1:2020に基づく形成的ユーザビリティ試験でした。

その試験では、特にパッケージのデザインの有効性の評価が求められていました。その製品本体自体のユーザビリティは既存類似製品によって確立されていましたが、この製品は単回使用製品のため、一度使われたら廃棄される製品であり、製品を受け取ってから、製品のパッケージを開封し、滅菌状態の本体を汚さずに取り出し、使用する状態にするまでの一連の開封作業ができるかどうかが重要な評価項目となっていました。

※写真はイメージです。実際の製品ではありません。

課題

一般的に、能動型医療機器等では医療機器本体自体のオペレーションに関連するシナリオがハザード関連シナリオとなることも多く、製品の開封やインストレーションに関連するシナリオが評価対象となることは少ないかもしれません。しかし、こういった単回使用医療機器は、意図通り開封し、使用する準備できなければ、使用前に製品が汚れ、感染等の危害に繋がる可能性があります。この試験では、そういった製品の開封時の使用環境や流動性を理解し、タスクを評価することが重要となっていました。

また、このユーザビリティ試験は、形成的評価でしたが、そのあとは総括的評価に挑む予定であり、Pre-summativeな位置づけの形成的評価であり、総括的評価と同様の試験設計で、その設計自体に問題がないかの確認を含む試験となっていました。

アプローチ

そのような背景を踏まえ、試験の実施前に、試験プロトコルレビューをすることで試験の目的や評価内容を明確に定める必要があることを説明し、実査の前に試験資材を入念に作り直すことにしました。そのメーカーが作成した試験プロトコルは、評価するタスクも成功基準も明確になっておらず、試験資材であるモデレーターガイドや記録表の内容にも矛盾や不備や不足が見られていました。このような資材を用いて試験を実施してしまうと、試験中に混乱が生じ、本来評価するべきタスクが評価できなくなってしまいます。

そこで試験プロトコルについては、試験プロトコルに記載すべき内容というものを、そして本来あるべき試験プロトコルとはどういうものなのかを依頼元のメーカーに説明しました。試験資材については、試験を実施するモデレーターが、タスクをしっかり理解し、スムーズに試験を運営でき、適切に結果を記録できるように、モデレーターガイドと記録表を作り変えました。イントロスクリプト、シナリオの説明、タスク指示と成功基準、スコア定義、アシスト方法やモデレーター指示等、必要な情報をすべて明確化しました。そしてそれらの資材を用いて試験を実施しました。

結果

その結果、そのやり直し試験は大きな問題は発生せずに最後まで実施することができました。過去の試験のように実施するタスクや試験資材の内容をを試験中にその場で変更するような、試験としてはあるまじき行為をすることなく、試験を実施することができました。残念ながら、やり直し試験でも、テスト製品自体が本来想定されていたように動かず、幾つかのタスクで当初定めた通りに評価できないということが数回発生しましたが、それらも逸脱としてきちんと記録に残し、結果をまとめることができました。また、記録表についても、行動観察記録に加え、根本原因の記録や主観的フィードバックの記録が明確に分かるように構成を整えて記録した結果、その後のリスク分析がしやすい形で納品することができました。

Hints &Tips